月の恋人
「…そんな目で、見ないでよ、陽菜ちゃん。…なんか、変な気分になってくる…」
「え?」
あたしの反応に
翔くんは苦笑したような表情で、大きくため息をついた。
「……やっぱ、いいや。なんでもない。夏休みは長いしな。」
「は?」
「…そろそろ、戻ろ。もう夜も遅いし。」
「…うん。」
ふいに
あたしの前に
手が差し出される。
「…え?」
「…仲直り。…ホラ。」
…………握手?
「ケンカ、してたっけ?」
「あーー、もう、いいから!し、て、た、の!ホラッ!」
勢いで、
半ば強引に手を握られた。
翔くんの
照れたような、膨れた表情がかわいくて、つい、笑ってしまう。