月の恋人
「…お、おはよ、翔くん…」
翔くんの視線が
あたしの顔から下に降りていく
「…どうしたの?それ…」
どーしたのじゃ、ないよ!!
「もーー、バカなのよこの子!網戸にせず窓開けっ放しで寝たんだって、ゆうべ!」
薬を塗り終えたママが、
あたしの足をペチン、と叩いて言う。
「え………」
視線が、合った。
“ゆうべの?”
“……そう、アレ”
そんな暗黙の会話が
行き交った、気がした。
「ぶっ………あはははははは!」
朝から、翔くんの大笑いする声が桜木家に響き渡った。