月の恋人
あたしが
金魚みたいに口をパクパクさせていると
翔くんが、
ニヤリと
意地悪く……笑った。
―――――――――……
「嘘つき。意地悪しないって言ったのに……」
夏休みの初日
AM 10:00
両親は9時には仕事へ出てしまうので
ここから夕方までは、子供たちだけの時間だ。
あたしはエアコンの効いたリビングで、数学のドリルに答えを書き込みながら、膨れる。
隣に座る翔くんは
宿題をするでもなく
さっきからあたしの手元に視線を落としたまま。