月の恋人
「人聞き悪いなぁ。意地悪なんか、してないじゃん。」
心底、おかしそうな声。
もう。
翔くん、絶対、楽しんでるっ!
あたしは何も言い返せず
(確かに、直接何かされたわけじゃない)
ムクれたまま
ガシガシとドリルをやっつけるけど、なかなか上手く進まない。
あれ、計算してもしても…変な分数が出てきちゃう。…なんで?
「陽菜ちゃん、…それ、答え、出る?」
「え?」
「ココ。……6÷3を2じゃなくて3で計算してるからスッキリ答えが出ないんだよ、ソレ。」
「あ……!」
クスクス笑う声。
「どうしたの、成績優秀な陽菜ちゃんが、珍しい。」