不器用男子
 そのまま樹里菜ちゃんのクラスで話すことにした。


「樹里菜ちゃん!! あたし、負けないよ!! 樹里菜ちゃんとは恋のライバル!! 千隼は私が好きな人だから樹里菜ちゃんには渡さない!!」


 笑顔でそう言った。


「はぁ…めんどくさいことが好きな先輩…樹里菜はどんな手でも使って先輩から千隼を奪い取りますよ?」


「…どんな手…?」


 ろくでもないことを考えてそう…。


 樹里菜ちゃんに正々堂々なんて言葉存在しないみたい。


「そうねー。 階段から突き落としたり? 私の手下にでも襲わせることだって簡単よ?」


 突き落とす?

 襲わせる?



「そんなの犯罪だよ!?」

 警察に捕まっちゃうよ!!

 そんなことでも覚悟して千隼を手に入れたいの?

 千隼のことが好きだから?


「…言いませんでしたっけぇ? 樹里菜のパパ、社長なんでそんなの権力でどうとでもなりますよ?」


 …権力でなかったことにするってこと?


 このひと…千隼を好きな目をしてない。

 あの目は、ほしいものを何をしようが手に入れようとする目。


 漆黒の冷たい目。

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