不器用男子
「ここ誰んち?」

「私の家…のはず…。」

「ひなみの家…? はずってなんだよ。」



 場所は間違ってないはず…。



 でもね?

 
 なんか木造の家から…煉瓦の立派な家っていうより軽くお城になってるし、表札が秋谷から木下になってる…。


「まぁ、行けば分かる!!」


 そう言って千隼の手をひっぱってインターホンを押した。


「はーい。…て、ひなみ? 待ってて今開けるわ。」


 中から聞こえたのは間違いなくママの声。


 間違ってはなかったみたい。


「は? 両親いるわけ? 俺、帰るし!!」

「今頃遅いから!! そんな取って食べやしないよ!!」


 千隼はかなり動揺してる。


 しばらくすると、玄関からママが顔をのぞかせた。



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