不器用男子
 スキって言われるだけで、今までの不安と嫌な気持ちがどこかへ飛んでいった。



 どちらともなくキスをした。


 まだ、数えられるほどのキス。


 だけど、気持ちは今までよりずっと深い、数えられないキス。




「千隼…コーヒー飲んだ?…苦い。」

「お前、ココア飲んだだろ。あめぇ…。」

「「あんなものよく飲める」」


 同じ気持ち……。


 心が…考えてることが一緒……。


 すごく嬉しかった。


 


「俺、ひなみの本屋行くから。」

「うん…」


「ほら。ちょっと遅いけど…バレンタインのおかえし」


 そう言って私にくれたピンクのリボンがついた赤い箱。


 千隼がこれを持ってるなんて変。


「開けていい?」


 ゆっくりと開けた箱の中に入ってたのは指輪。


 千隼は箱から指輪を出してぎこちない手つきではめてくれた。


「一応…婚約指輪」

「うそ……」

「嘘じゃねぇ」



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