不器用男子
「あー、俺がうっとうしいって言ってんのお前だから。 ひなみこいつウザい。 ひなみ遊園地、行きたいんだろ? 行く?」


 そう言って席を立ち私の傍に寄った。


「え?」


 女の人はまゆをひそめて私をにらんだ。


「うぜ」

 千隼は最後に一発そう言うと私の手を取って図書館を出た。


「ここから一番近い遊園地ってどこ?」


 私が遊園地行きたいって分かったの?


 あの女の人に鬱陶しいって言ったの? 私じゃないの?


 いろんな気持ちがこみ上げてきたけど一番の気持ちは嬉しかった。


 千隼は不器用だけど人の心はちゃんとわかってるんだ。




 千隼と私はそのまま電車にのって近くの遊園地に来た。


「千隼!! 何にのる!?」

「はしゃぎ過ぎ」


 そう言って口角をあげて笑った。



 いろんな乗り物にのった。

「千隼!! 次、これ!!」


 夕方に近づいてきて最後と思われる。


 私が選んだのはデートのときはのりたい観覧車。

「あぁ…いいけど。 俺苦手」

「そーなの!? …やめておく」


 乗りたいのは山々だけど千隼が苦手なら仕方ない。

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