不器用男子
 嫌な日…だと思うのにすごくいい天気。


 朝、丁寧なあいさつとともに現れた千隼。


「じゃぁ、お母さん…行ってくるね。」

「失礼のないようにね?」


 そういえば、いったことない千隼の家は意外に近くて立派なお屋敷。


 千隼の後をついて行くとリビングに通された。


「君が…ひなみちゃんだね?」


 リビングの豪華なソファに腰をかける少し千隼に似ている男の人。


 真っ黒の髪に千隼と同じようなメガネをかけてスーツを着こなしてる。


「はい…そうです。」

「まぁ座りなさい。」


 そう言われて千隼の隣に座った。


「君はたしか私の弟の娘だったね?」

「あっ、はい」

 千隼のお父さんなんだ…。

 千隼のパパと私のパパは兄弟。

 私たちはイトコになるのかな?


 一つも表情を変えない千隼のお父さん。


「まず…千隼と結婚したいか?」


 …さっそくですね、お父さん。


「…するつもりだけど…?」

 私が答えに困っていると代わりに千隼が答えた。


 してくれるつもりだったんだ……。

< 197 / 244 >

この作品をシェア

pagetop