不器用男子

「うっ…んっ」

 重たいまぶたおを開けると、保健室の独特の香りが漂ってきた。


「秋谷さん…目覚めた?」

 優しそうなおばさん先生がベットの仕切りのカーテンから顔をのぞかせた。


「…。」

「ねぇ…秋谷さんのお宅、誰もでないんだけど…。どうする?」


 たぶん先生は、1人で帰るどうかを聞いてるんだ。



 学校から寮まで約30分かかる。


「先生…私熱ありますか?」

「ええ…さっき測ったときは、38度だったわ…。」


 結構ある…。


 帰るのはきついかもね…。

「あの…凌…山崎先輩はいますか?」

 凌君だったらOKしてくれそう。


「3年生は全員もうひと教科あるのよね…先生たちも試験中か出張かで…私もこれから出なきゃいけないのよ…。」



「じゃぁ…1人で帰ります。」

「そう…? 大丈夫かしら?」

「はい。 平気です。」


< 21 / 244 >

この作品をシェア

pagetop