不器用男子
「わかってるけど…どう頼っていいかわからない…」

 どう頼る?

「…どういうこと?」

「ずっと1人でなんでもしてきたから…どう頼めばいいかわからねぇ…」

「…千隼…」

 ずっと1人だった…。

 千隼が考えそうなことだね?


「無理しないで、これ、やっといて? で、いいんだよ?」

「んな簡単にいってもいいのか?」

「あたりまえだよ…千隼はみんなを引っ張って行かなきゃならないんだから…ね?」

「…そっか…サンキュ」


 スーツがすっかり似合うようになって…頼み方が分からないなんて千隼らしい。


 やっぱり千隼なんだ…。


 そんな感じがした。






 …ん…



 夜中に目が覚めるなんて珍しい。

 なんか気持ち悪い…。


 そう考えたときには洗面所に走っていた。
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