不器用男子
「いーの!! 気ままにやってる店だから…それにここの店員もみんな元から知り合いの人たちばっかりだし。」

「うわぁ…楽しそうですね?」


 にしても鈴佳ちゃん…店長も知らずにバイト希望してきたのか…。

 

「次の方どうぞ―?」

「失礼しまーす。」

 そう言って入ってきたのは男の子。

 しかもチャラい。

「座ってください」

 ってその前に座っちゃってるし…。

 この子…ちょっと礼儀が…。
「名前は?」

「志築 ライト(しづき らいと)」

「どうしてこの店を選んだの?」

「給料いいしー、ラクそうだから」


 ちょっ、このこ…不採用かな…。


 残念だけど…。


 男の子は居てくれたほうが重い荷物もあるし助かる。

「…じゃぁ…他に理由はないの?」

「…好きな奴がいるから…」


 好きな子!?

 それはこの職場に?

 好きな子になにかあげたいから?


 とっ、とにかく好きな人がいるってことは悪い人じゃないっていうのが私の考え方。


「採用です。 よろしくね?」

「ありがとうございましたー。」


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