不器用男子



 助けて…!!




 運よく通りかかったのか、私を助けにきてくれたのかはよくわかんないけど、チャンスはここしかない…。





 でも…声が出ない。





 …気付いて…?




「…何の用?」

「俺、この前この部屋にケータイ忘れてなかった?」

「なっ、ないよ!! てゆうか、君僕の部屋来たことないじゃないか!!」

「そうだっけ? でも、俺山田の部屋に忘れいった。」


 そういって、入口の向こう側から漏れる光が長身の影を映す。


 …こっちに歩いてきてる。


「この部屋にお前の物なんかない!! 出てけ!! 邪魔だ!!」

「何の邪魔になる? お人形ごっこ?」


 この声…。


 聞いたことある。


 私の好きな、少しハスキーで優しい声。

 でも、今はなんか怒ってる…?


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