不器用男子
「秋谷せんぱ~い♪」


 休み時間の度にわざわざ教室に来てくれる樹里菜ちゃん。

 行動で見る限り樹里菜ちゃんは悪い子には見えない。


 やっぱり嘘だったんだ。 単なる噂だよね。


「樹里菜ちゃん…次の時間は移動教室だから…もう行かないといけないのー!!ごめんね?」


「…じゃぁ…サボりませんかぁ…?」

「サボる…!?」


 生まれてこの方授業をサボるなんて行為したことのないため…まさか樹里菜ちゃんからそんな言葉が出てくるとは思えなかった。


「えっ…と…授業はちゃんと出なきゃいけないよ?」

「そうですか…。」


 シュンと落ち込んでしまった樹里菜ちゃん。

「落ち込まないで…?」

「はい…今日一緒に帰れませんか…?」



 一緒に帰る…?

 私の中でこんな公式がたてられた。


 一緒に帰る=千隼と帰れない?&男子寮に住んでることがバレる


「ごっ、ごめん!! 帰りはいつも千隼と帰ってるから…。」

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