不器用男子
私はどうしてもここにいたくなくて走りだした。


 …つもりだった。



 のに…



 ―――――――ズテッ!!



 勢い余ってこけてしまった。



 膝とひじからは次々に血が出てくる。


 千隼と樹里菜ちゃんに音聞こえちゃったかな…?


 何の音かと思って教室から出てこられると困るから痛いのを我慢して教室に駆け込んだ。



「…ッ…ひっ…くっ…」

 必死に我慢してるけど出てきちゃう鳴き声。


 教室の騒ぎ声のなか1人で


 寂しさと

 不安と

 涙を

 一緒に食べるようにお弁当を黙って食べた。


 優里と祐武は屋上でラブラブランチだから邪魔もできない。


 しばらく経つと教室に千隼が入ってきた。


 私はなんとなく…なんとなく千隼のほうを見た。


 …ばっちり目があった。


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