不器用男子


 ここにいたくない。


 そんな気がした。


 私はお弁当を急いで片付けると教室を飛び出した。



 ちょっと樹里菜ちゃんとしゃべってただけじゃない…。


 こんなに避けなくてもいい。


 こう思う私と…



 どうして千隼って呼ぶの?

 どうしてあんなに楽しそうな声が聞こえるの?


 そんなことを思う私もいる。



 行き場のない私は保健室に入った。


「秋谷さん? 何かあったの…?」


 先生の優しい声…。


 我慢してた涙が出てきた。


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