【COLORS②】ほろ苦ワインに酔いシグれ
メニューが無いって……嘘だろ?
「じゃあ、値段も分からねぇじゃねぇか」
「それならご安心を。お値段はあなた自身がお決めになればよろしいのですから」
俺が決めれば……って!
「何か不服でも?」
「あ、い、いえ……別に」
この女性の不思議な雰囲気に俺も完全にのまれていた。
「こちらが今夜のお酒でございます」
かくして、動揺している暇もなく……
「赤ワイン……ですか?」
俺の目の前にはグラスに注がれたそれが堂々と存在感を表していた。
「ええ。これは『夢と希望』という名のワインですの」
『夢と希望』──か。
確かに今の俺にはぴったりなのかもしれないな。
ワイングラスのくびれた部分をそっと手にとると、一口だけ味見をしてみる。
俺にはソムリエの資格もないし、ましてワイン通でもない。
しかし、なんとなくだがいつも口にする赤ワインとは何かが違う気がしていた。
「いかがですか?」
「はい、とてもおいしいです」
こんなありきたりの感想しか言えない自分を恨んだ。
「そうですか、それは安心しました。今あなたが抱えている心の闇とお酒はリンクしているのです」
この女性……一体何者なんだ?
俺が将来の自分について悩んでいることを何故──
「どうして俺のことを?」
「なんとなく……とでも言っておきましょうか。よろしければ私にお話下さいませ。それが今回私があなたに会う目的なのですから」
「じゃあ、値段も分からねぇじゃねぇか」
「それならご安心を。お値段はあなた自身がお決めになればよろしいのですから」
俺が決めれば……って!
「何か不服でも?」
「あ、い、いえ……別に」
この女性の不思議な雰囲気に俺も完全にのまれていた。
「こちらが今夜のお酒でございます」
かくして、動揺している暇もなく……
「赤ワイン……ですか?」
俺の目の前にはグラスに注がれたそれが堂々と存在感を表していた。
「ええ。これは『夢と希望』という名のワインですの」
『夢と希望』──か。
確かに今の俺にはぴったりなのかもしれないな。
ワイングラスのくびれた部分をそっと手にとると、一口だけ味見をしてみる。
俺にはソムリエの資格もないし、ましてワイン通でもない。
しかし、なんとなくだがいつも口にする赤ワインとは何かが違う気がしていた。
「いかがですか?」
「はい、とてもおいしいです」
こんなありきたりの感想しか言えない自分を恨んだ。
「そうですか、それは安心しました。今あなたが抱えている心の闇とお酒はリンクしているのです」
この女性……一体何者なんだ?
俺が将来の自分について悩んでいることを何故──
「どうして俺のことを?」
「なんとなく……とでも言っておきましょうか。よろしければ私にお話下さいませ。それが今回私があなたに会う目的なのですから」