甘い夜の、願い事。



「本当は嬉しいの。お母さんね、お父さんが死んで10年経った今でも時々お父さんの写真見て泣くの。すごく寂しかったんだと思う。」


『うんうん』って聞いてくれる、私の兄になる人を、見上げた。



「お母さんを支えてくれる人が見つかればいいのにって思ってたのに…いざ現れるとびっくりしちゃって。お父さんがいるなんて言っちゃって…子供ですよね。」


喋り終わったら、ふわっと男の人の手が私の頭に伸びた。


「それ、お母さんに言えばいいだろ?今お母さん、すげー傷付いてんぞ。」

「えっ?」


そうなの?

慌ててリビングに向かった。


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