お兄ちゃんは危険な××!
「ごーすとれいと」
「………」
いつも通りの、放課後。
私は呆れた顔をして、教科書を声に出して読む日菜子を見た。
「ごーすとれいとじゃなくて、go straight、だからね?」
英語の教科書を両手で目の前に持ち上げて読み上げる日菜子は、ちょっと小学生みたい。
「ちゃんとそう言ってるよー?」
「言ってない言ってない、違うものに聞こえる」
私がブンブン片手を振ると、日菜子は不満そうに自分のほっぺをつねった。
不満なときはそうするのが日菜子のクセ。