お兄ちゃんは危険な××!

私はガッと日菜子の襟首を掴んだ。


(といっても、優しく)


「ちょっと!誰?日菜子の中から出てって!」


焦る私を見て、日菜子はくくっと笑う。


笑い方がすでに日菜子じゃない!

こんな真っ黒い笑い方日菜子しないもん!


日菜子は強気な表情で、それも上目遣いで私を見た。


「俺は玲人。幽霊の玲人」



へー


玲人。


幽霊の玲人かー


………


「ゆ、ゆゆ幽霊!?」


私は思わずズサーッと後ろに後ずさった。


ヤツは心底おもしろそうににやりと口角をあげた。




だって!
だって!

幽霊って!



「お前の兄貴とやらが、さっきの二井って奴に“体に霊を招き入れる薬”ってのを飲ませてね。偶然そばにいた俺はそれに引き寄せられてあいつの体に入ってたんだ」


ああ、なるほどね。

それで二井くんに……



って、

ななな、何してんのーっ!?

普通他人を実験台にする!?

信じらんないっ!
バカ千里ー!



頭に両手をやって兄の行動に呆れ果てていると、日菜子(玲人)が椅子から立ち上がって私と向かいあった。


な、なな何?


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