お兄ちゃんは危険な××!

「貸さないんじゃなくて貸せないんだろ」


「………」


ご名答です。


やっぱりこの人の勘は素晴らしいくらい鋭い。


私のお財布には、100円玉が一枚ころんと入っているだけ。

お財布を開ければ100円玉がさみしそうに見上げてくる。


「わかってるなら、なんで来たの?」


ちょっとイラッとしながら尋ねると、お兄ちゃんは周りをキョロキョロ確認してから私の耳元で囁いた。


「弁当分けて」


「嫌だよ」


「お願い!」


「え~」


お家モードのお兄ちゃんは、手をパンッと合わせて懇願してきた。


お兄ちゃんだったらわざわざ私からもらわなくても、その辺の女の子からちょいちょいつまめば立派なお弁当が出来上がると思うのにな……


< 23 / 266 >

この作品をシェア

pagetop