お兄ちゃんは危険な××!
「今年はそういうの、やめよーと思うんだ。最後くらい正々堂々と勝ちたいだろ?」
そう言ったお兄ちゃんに、ジ〜ンと感動する。
「お兄ちゃん……」
珍しくまともな考えを持って体育祭に臨んでいたのね。
そういうことなら……
「わたしも頑張るよ。運動音痴だけど……頑張って得点とってくる!」
高校生活最後の体育祭、優勝させてあげたいしね!
お兄ちゃんは優しい微笑みを浮かべて、わたしの頭にぽんと手を置いた。
「嬉しいよ。だけど、優絵は無理すんな?」
微笑みにやられたわたしに、準備があるからと言って背を向けた。
わたしは珍しく頼もしいお兄ちゃんの背中を、ほわんとしながら見送る……