お兄ちゃんは危険な××!
おかしいな、私しょっちゅうお兄ちゃんの試合とか見に行ってたはずなんだけど……
ま、まぁ、顔は全然似てないしね!
「?」という顔をしている二井くんに、あははと笑って誤魔化す。
お兄ちゃんはふぅ、となぜかため息をついて寄りかかっていた窓枠から体を離した。
「じゃ、パンも貰ったことだし、俺は戻るよ」
「そうだね、二度と来ないでね」
そう言って手を振れば、ベッと舌を出された。
そしてそのままスタスタと廊下の奥に消えていった。
その後ろ姿を見送る。
黙ってれば、カッコイイのになぁ……
「ほらね、だーい好きでしょ?」
後ろからとことことやってきた日菜子が楽しそうに耳打ちしてきた。
「や~、えっと」
「いつも、今日は一緒に帰らないとか叫んでるけど、結局一緒に帰るもんね」
「っ、今日は帰らないからね!」
さっと日菜子を振り返ってそう宣言して、頬を膨らませながらお弁当を広げた。
その間も日菜子はにこにこと私を見ている。
もう!
絶対絶対、今日はお兄ちゃんとは帰らないからね!