花を愛すように君を愛そう。
---------龍崎の屋敷、菖蒲の部屋
「なあ、菖蒲。
いつお前の婚約者を教えてくれるんだよ。
俺には時間が無い。もうすぐにでも渚とこの街を出るつもりなんだ。
だから、親友の婚約者の顔ぐらい拝んでからさよならしたいんだよ」
梓はそういって俺を急かす。
「お前から、婚約を申し込んだんだろう?
本気で惚れてるって言う証拠じゃないか」
本気で惚れてる?
そんな綺麗な感情で済むならいい。
俺が持ってるのは独占欲だけなのだから。
永い沈黙が続く。まるでそれが永遠に続くように。
「なあ、梓。
・・・・・
お前は俺の一番の親友なんだろう?
俺のことが何でも分かる」
そういわれた梓は不可解な顔をする。
「ああ。そのつもりでいたけど・・・。
何でそんなこときくんだ?」