あやめ
酒屋の看板娘
日曜日の昼下がり、僕は自分の部屋でのんびりと休日を満喫していた。
「巧ー!ちょっと降りて来てー」
階下から母親の声。
嫌な予感は的中した。
「ちょっと買い物行ってきてくれない?お母さん、いま手が放せなくて」
母が渡してきたメモには、ビールやら焼酎やら、数種類の酒の名前が書いてあった。
「未成年に酒買わせるの?」
「大丈夫大丈夫。酒屋さんに電話しておいたから」
あっけらかんと笑う母。
(何が大丈夫なんだか…)
僕は半ばあきれながらも、そのメモと財布を受取り、自転車を走らせた。