あやめ
隆はあやめの声を久しぶりに聞くことができた喜びから、あやめを強く抱きしめた。
「あやめ、よかった。よかった!」
そして乱暴に頭を撫でる。
大きな手だった。
「アイス食おうぜ!」
体を離し、隆が売店に置かれたソフトクリームの置物に視線を移す。
あやめはこくりと頷くが、思い直して、言う。
「食べる…」
隆は満足そうに笑い、あやめの手を取って歩き出した。
隆が買ってくれたソフトクリームは、空に浮かぶ雲のように、真っ白だった。