あのね、スキ


言ってからハッとして
女の顔を見ると


一瞬潤んだように
見えた目は、次の瞬間には
笑顔になり、



『先輩!一緒に帰ります』


疑問系にしたら
俺が断るとでも思ってんのか、
コイツは疑問詞を使わない。


変なとこ控えめなのな。


「由季が待ってる」



それだけ告げ、歩き出した俺


しばらくその場に立ち尽くし
何か考えてた女は


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