honey*bitter~赤い車の秘密
「まぁまぁ遥ちゃん♪」
いきなり会話に入ってきたのは、4つ上のバイトの先輩。
顔はなかなかイケメンだし、何より優しい――
「今日俺らと遊ぼーよ」
…が、ちゃらい。
いつもなら苦笑いで丁寧にお断りするあたしだけど、
今日はもう、全てがどうでもよくて。
「……はいっ」
忘れられるなら何でもいいなんて思ってた。
「まじ!?遥ちゃんはど…」
「絶対むり。…つかあたしは彼氏いますんで」
って怒り気味にその場を離れた遥。
「じゃ、今日終わったら待ってて♪」
って頭をぽんと撫でられる。
そんな一瞬の仕草にも、元彼の笑顔がよぎって。
…重症だな、あたし。
レジ打ちの間も、何も考えられなかった。