honey*bitter~赤い車の秘密
「………うわやばい、
きれー…」
正午を大幅に過ぎた今の時間帯は人気もあまりなく、
夕日に眩しいほど照らされた海の波音だけが響き渡る。
砂に埋まる前にパンプスを脱いで、素足で歩く。
あたしたちは、波打ち際から少し離れたところに揃って座った。
「連れてきてくれてありがと〜…」
「いえいえ。…言い出した割に爆睡だったけどね?」
って意地悪な笑顔を見せて、ひとつ大きな伸びをした。
疲れてんだよね??
それなのにあたしに気遣ってくれて…。
あたしは抱きしめていたパーカーを俊介の背中にそっとかけた。
「俊介にお礼したいこと絶えなくて、困っちゃうな?」
ってわざとそうゆうと、
いきなり手を引かれて
俊介の目の前にぺたんと座りこんだ。
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