honey*bitter~赤い車の秘密
夕暮れ時。
そんな言葉がふさわしい時間帯。
人もそんなにいなくて、波と風の音だけが静かに響く。
俺たちは波打ち際から少し離れたところに並んで座った。
『綺麗』って感動してるちいの横顔を、俺は綺麗だと思った。
「俊介に、お礼したいことが耐えなくて困っちゃうな?」
なんて優しく微笑んで、パーカーをそっと俺の背中へかける。
そんなちいを、俺は衝動的に自分のところへ引き寄せた。
.