だから、また君は
将は勉強ができないわたしの
いわゆる指南役というやつ。
ここから恋が発展するとか、
そういう甘い展開は夢にも想像できない。
…ま、少しは期待したいけど。
「将くーん。」
「…ん?」
「意味わかんない」
「なにが」
「問題に決まってんじゃん」
「なんの」
「…05番。三角関数のやつ。」
机に倒れこんでいた体を、
ゆっくりと起こして鉛筆をとる。
一連の動作は見慣れたもの。
その動作はいかにも頭よさげで
初めて見たときには、
天才っているんだ。
そう思ったのを覚えてる。