だから、また君は


「聡は俗に言う天才だよ」


誇らしげに僚先輩が言う。


「あいつは勉強もできるし
部活…剣道部でもエース、
ご存知の通り副会長だしな」
「…なんか将みたい」


思わず口に出していた。

すると、先輩がキっと見た。


「将?相田将のことか?」
「そ、そうですけど」
「聡はそいつに手を焼いているらしい」


困った奴もいるものだよ、
と先輩はため息をつくと
大きく首を横に振った。


「何でも女がいるとか…」
「…!! どんな子ですか?」


何かに気づいちゃった智子は
ニヤニヤしながら聞いた。


「髪は?」
「…ショートだったか?」
「眼鏡は?」
「確か掛けてるとかなんとか」
「身長」
「小さめ。150くらい」


智子はうれしそうに、
わたしの背中をバンバン叩いた。


「先輩!!この子です」
「へ?」
「相田くんの女!!」
「…瑞季くん?……ああ!!」


< 31 / 109 >

この作品をシェア

pagetop