だから、また君は


先輩を振りきって
放課後の廊下を歩いていると
足音をさせて走ってくる音がした。


「しょーうー」


おみずだ。


「なんかあった?」
「相変わらずモテるね~」


へ?見られたのか?


「え、なんで?」
「また噂聞いたから」


ちょっと涙目になっている、
って感じるのは…俺だけか。


「どんな?」
「将のこと好きみたいな」


俺に向けて言った言葉じゃなくても
好きという言葉に過敏に反応してしまった。


「す、好き?」
「友達がね~」


ニヤニヤ笑い俺の背中を叩く。

その顔にドキっとしてしまう。

気づきたくはなかったんだけど
俺は…もしかしたら…

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