だから、また君は
「ま、何事も経験だから」
空いた皿を手早く片付けて
美里さんは軽く手を振った。
「そんなんでいいのかよ」
晃はあきらかに不満げである。
「人がいくら言ったとしても
恋愛事は百聞は一見に如かず」
カラカラと笑うと
お焼香でもしてこよー、と
若い母はリビングから出ていった。
「…美里さん」
小さい声で呼ぶと
奥にある和室から声が聞こえてきた。
「今晩は。祐樹さん
今日も将と晃は元気…です。
将は、恋愛事で馬鹿みたいに
悩んでいて笑えます(笑)」