ヴァンパイア様と猫

笑顔であたしを見下ろしていたかと思うと口を開いた依智。


「悩むばっかしてないで少しは頭休めてろ」


ぶっきらぼうにそう言うとパッと顔を逸らしてしまった。


だけど顔を逸らしても耳まで赤くなっているのは隠せなくって…照れてるんだってあたしでも分かった。


そんな依智を微笑ましく思いながら依智の優しさ─行為─に甘えるようにあたしは膝を借りて夢の世界へと意識を手放した………。




横目でその光景をずっと黙って眺めていた匙月がゆっくりと口を開いたのは美依が喋らなくなって10分後のことだった。


「イチ…変わったな」


その言葉に反応して美依に向けていた視線を匙月に向けた。


「………は?」


たっぷりの間を置いて返せた答えはそんな短いものだった。


「変わったって言ってんの。 昔は女を気遣うどころか少しでも自分がウザいとか思ったらすぐポイ捨てしてたのに」


その言葉に少しの間黙っていたが反論の為口を開いた。


「それは「しかもそれは今も健在だろうが美依以外の女に対して、だろ?」


言葉を重ねられ本当のことなので黙りこくる依智。





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