ヴァンパイア様と猫
そう思いながら再び冷蔵庫へと体を向け手に持っているミネラルウォーターをしまおうとするとそれは誰かの手によって止められた。
勿論この家の中にあたしと依智以外がいるはずがないので"誰か"なんて分かりきっているのだが。
文句を言おうと後ろを振り返るがピタッと固まり石化するあたし。
なぜなら上半身裸、下はスエット、肩にタオル、髪は濡れて雫が滴っている。
物凄い色気を放っている目の前の人物を同じ高校生だと思いたくないのはあたしだけだろうか?
いや、あたしだけではないと願いたい。
石化しているあたしにお構い無しに手に持っていたミネラルウォーターをとった。
それによって我に返るあたし。
あたしが飲んでいたミネラルウォーターを躊躇いの一つも見せずに飲んだ。
「な…な…」
声になっていない。
「言っとくけど、コレ、オレのだから」
………。
信じがたい事実を言われてしまった。
唖然とするあたしに『ホラ』と証拠であるキャップを見せ付けてきた。
証拠のビニールテープがちゃんと貼ってある。
まさかの真実にショックを受けたのだった。
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