ヴァンパイア様と猫
家事などは得意でミスをするなんて体調が悪いとき以外はなかったのに…。
そう思いながら一人分の食器を洗い終えた。
時間を見ると午後3時。
「……………」
何に関してもそうだが依智が実家に帰ってからは生活リズムが狂っている。
依智がいなくなっただけで…。
握りしめていた台拭きを力無く離し元の場所へと戻した。
ザワザワとうるさい騒音に思わず眉間にシワを寄せる。
どうやら気分転換に…と街に出てきたのがそもそもの間違いだったようだ。
軽くため息をついてベンチに腰掛ける。
夏特有の湿度を含んだ暑苦しい風が頬をなでる。
周りを見渡せばカップルやら友達同士やらで独り身のヤツといえば仕事関係の人のみ。
…なんだか自分が余計惨めに思えて仕方ない。
ベンチから立ち上がり前行ったオシャレなカフェへと足を向けた。
あの時も…一人だったんだ。
そのことを思いだし、苦笑いをするしかなかった。
あの時は途中から畝妓先輩と匙月がいたんだよね。
そこまで遠くない過去のことなのに遠い過去のように思いながら進める足は止めなかった。
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