ヴァンパイア様と猫
刺々しくなった理由なんて…理由なんて…分からな………いや、思い当たります。
性格が変わってきたの、依智と一緒にいるようになってからだ。
それほど依智の影響力というものは凄かったのか。
ちょっと感心しながらも現実逃避しつつあるあたしの脳内。
…依智が来てからホント変わったよ、あたし。
アイスココアを飲みながらそんなことを思った。
「もしもーし」
ふいにかけられた言葉にそういえば一人じゃなくて匙月もいたんだっけ、と思い出す。
「あぁゴメン。ちょっと自分の世界に入りすぎて匙月の存在忘れてた」
そう言えばあたしが頼んでやったアイスティーを飲みながら机にのの字を書いていた。
いじけかたがどうにも幼いっつーか古臭いっつーか…なんとも言えなく思うのはあたしだけなのだろうか?
いや、まぁあたしも悪かったんだけどさ。
アイスココアに浮かんでいる氷をストローでつっつきながらのの字を書いている匙月を横目に見る。
いい加減、あの行動にツッコミいれたほうがいいのだろうか?
どうしたものか、と思いつつあたしはため息をついたのだった。
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