ヴァンパイア様と猫
ギュッと眉を寄せているとそれに気づいたのか一旦離れる依智。
眉間に刻まれているシワを撫でながら下から覗き込んで上目遣いで聞かれた。
「美依、何考えてんの?」
緩く撫でる手つきは変わらないまま、あやすように尋ねてくる。
それでもあたしの眉間のシワは相変わらず。
だってよく考えたらあたしは依智の婚約者ってことになってる。
学校では、だけど。
それでも、あたしは依智から明確な言葉が欲しい。
なんであたしなのか…。
「依智さ、放送で言ったよね?『僕の婚約者は柏木美依ですので』って」
どんな答えが返ってくるかなんて分からないけどあたしは真っすぐ依智を見て聞く。
「ん?言ったよ」
それがどうかしたのか?って顔で返答した依智。
「どういうつもり?」
心の内にある感情を出さないように問うた。
返ってきた答えは…
「そのままの意味だけど」
あたしの脳内をこんがらがせるものだった。
酷く混乱した頭で出せた答え、それはあたしと依智のこれからの関係を変えるものになる。
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