ヴァンパイア様と猫

通話ボタンを押してすぐさまに耳元から離した。


もしもし、も言わずに。


そんなあたしの行動を不思議そうに依智が見ていたがすぐに分かることになるのだった。




「美依、どこにいんのか答えなさい!!」


ギリギリまで離してるのによく聞こえる声。


これにはさすがに依智も苦笑いしていた。


うわー…お母さんみたい…とか思ったけどそんなこと言ったらさらに激怒することが予想されるので言わないでおいた。


てか学校なのにそんな大声でいいのか?


いや、まぁ…大声出させてる張本人が言えるような言葉じゃないけどさ。


「あっとー………家です」


嘘ついても余計に怒られるだけなので素直に答えた。


「今何時なのか分かるかしら?」


丁寧な物言いの佑祢は物凄く怖いんですけど………。


「えっと…」


「あら? 美依は時計も見れなくなったのかしら?」


弁解の余地すら与えずにグサグサと言ってくる佑祢。


これだから遅刻したくなかったのに…依智のバカヤロー!!


って依智にスリスリしてたあたしが言うのも何だけど…。





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