ヴァンパイア様と猫
おぅ…佑祢さん。
長年の付き合いで慣れてるとはいえ流石に傷つきますよ………。
しかも考え駄々漏れとか正直言って何も考えられないじゃないか。
しかしそんな脳内の会話を知ってか知らずかあたしの腕を引っ張って教室を出ていく佑祢。
引きずられながら佑祢についていく形となっているがそれは気にしないでもらいたい。
「「………あ」」
廊下に出た途端、少しの沈黙と重なった声。
しかし重なった声はあたしと佑祢のものではない。
あたしとアイツ─下宿人─の声が重なったのだ。
まぁ意味不明な言葉を残して置いてきた上にこの状況なら声を漏らすのも仕方ないかもしれないが。
だからだろう、妙に不思議そうな顔で見られてるのは。
なんとなく顔を背けたが背けた側には佑祢がいたのを忘れていた。
だが佑祢の顔には満面の笑み。
…なんだか非常に嫌な予感がするんですが………。
しかもその視線の先にはあたしが関わりたくない依智。
お願いだから何も言わずあたしだけを連れていってほしい。
そんなわずかな願いも佑祢によって打ち砕かれるのだった。
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