ヴァンパイア様と猫
1
依智と同居生活が始まって約一ヶ月近くが経っている。
だが親からの音沙汰がいまだにないのはどういうことなんだろう?
裏庭のお気に入りの木を背もたれにしながらそんなことを考えるあたし。
只今の時刻、午前10時。
普通なら授業を受けている時間なのだが今は新入生歓迎イベントの準備をしている(主に生徒会)からサボっていてもバレなかったりするのだ。
という訳で遠慮なくサボらせてもらっているあたし。
てかむしろ「手伝うな」って言われてしまった。
なんかあたしが手伝ったら準備が進まなくなるらしい。
暖かい陽射しに心地好い風が眠気を誘う。
木の根元にまるまって寝転がるとウトウトし始めた。
んぅ………。
「おやすみなさい…」
誰にでも言うでなくそう言って瞼を閉じた。
「ふぁ…」
目が覚めたとき陽が傾いているらしく辺りが綺麗なオレンジ色に染まっていた。
重たい瞼を擦って時間を確認するために携帯を開く。
「………5時」
というかこの着信にメールの数、尋常じゃない。
着信30件、メール55件。
正直いって見たくない。
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