ヴァンパイア様と猫
………ここは。
「あ!? 美依!?」
名前を呼ばれたがそんなの構ってられない。
1番マシな方法としては何も言わずダッシュで逃げるしかないんだよ!!
それくらい頭いいんだろうから察してくれ!!
脳内でそう言いながら階段を一段飛ばしで登っていった。
「ハッ………ハァ………」
全速力で階段を登ってきたから息が切れる…。
教室のドアを背もたれにして座り込んだあたしを不思議そうに見つめてくるクラスメイト達。
多分息が切れてるから走ってきたのは察してくれてるだろう。
「…大丈夫か?」
眉を八の字にして手を差し延べてくれているのは裟菟。
その手を掴もうと背もたれにしたまま手を伸ばしたが…それは裟菟の手を掴まず空を掴んだ。
………へ?
なんか…視界がゆっくり反転してる?
そう思ったときには背中に鈍い痛みが走った。
「っ…つぅ…」
思いっきり顔を歪めるた。
そのまま痛みに耐え切れずあたしは意識を手放したのだった。
意識を手放す間際に聞こえたのは依智の声だったのか、裟菟の声だったのか…定かではなかった。
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