ヴァンパイア様と猫
依智の特徴である漆黒の艶のある髪に触れながらそう思った。
美形はどうやら寝ていても美形らしい。
ただ表情はいつもより少しばかり幼く見えるのは気のせいではないと思う。
依智の髪に触れていると少し肩が揺れたような気がした。
「?」
顔を覗き込むとゆっくりと目を開けた。
あ…起きちゃった。
少し残念に思いながら名残惜しげに依智の髪から手を離したがその手を掴まれた。
予想していなかった行動に目をパチクリさせていると視界が急に反転した。
ドサッという音とともに背中と後頭部にわずかな痛みが走る。
反射的に閉じていた目を開けると綺麗な青空を背景に依智のドアップが。
しかし驚いたのはその事実より漆黒の黒だった目が深紅の紅に変わっていたこと。
この目の色の変わりについては依智と一緒にいることによりどういうことを意味しているのか分かっている。
だけど………なんで?
目の色が変わる前には必ず前兆があるのに…。
しかもここは学校だ。
いくら今が新入生歓迎会の真っ只中とはいえ見つからない可能性があるわけではない。
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