追いかける背中
沙帆の顔が、鬼のようになったのは、このときから。

「超頭に来てさ、嫌いなのに親しくしてて悪口言われるんだよ?超むかついて、それ以来、あたしは靜先輩と仲良くしないようにしてたんだ。
それで、ある時靜先輩も、剛がスキだって事を知ったの。それで決意したんだ。
“剛と付き合ってやる!両思いになってやる!!”って」

沙帆の顔は、満面の笑みになった。

「あたしは頑張ってさ、ついに剛に告白されたの!もう、超嬉しくって!!でも、靜先輩は知らないだろうから、スキって事を知らないフリして報告したんだ!!」

携帯を開いて、

「こういう風に送ったの!」

と、メールを見せてくれた。

《ついにきました!!剛から告白されたんです(^ニ^)嬉しくて泣きそう(;´_`;)/
今、最高に嬉しいです!!》

すごく、イヤミのこもった沙帆らしいメール。

「でもさぁ、先輩は電話で返事をしてくれた。どうなのかなー?って思ったらさ、
『いいよねぇー、あんたはさ。誰にでもモテて。あたしは相手にされないモン。あたし
の好きな人、分かってるでしょ!?剛クンだよ!マジムカツク!!最低じゃん!』  
って言われて、何でアンタにそこまで言われないといけないの!?って思って、
『何が最低なんですか?両思いになれないからって八つ当たりしないでくださいよ!』
て、言い返したら、いきなり泣き出して。もう、途中で電話は切るし、意味わかんない!」
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