追いかける背中
先輩は挨拶が始まってすぐ、手を下ろした。
その姿に、会場のみんなが笑った。
はぁ!?それ、おかしくない!?
生徒会長はえこひいきだし、会場のみんなは“毎回こうなんだから、やめなよ”と、小馬鹿にする。
「なんなのっ!!」
いきなり誰かが叫んだ。
目線の先には、さっきの無視された先輩。
「生徒会長も、、、みんなも、、、ひどいよぉ!!」
大声で叫び始めたと思えば、声をあげて泣きはじめる。
―何がなんだか、分からない。
さっきは可哀想だと思ったけど、いきなりこれじゃ、あたしも呆れる。
挙げ句の果てに、
「もぅ!先生も何か言ってくださいよぉぉ!!!」
と、先生に八つ当たりした。
正直、意味が分からない。
先輩は暴走し、立ち上がったと思えば、沙帆の前に来て、グイッっと胸もとを掴んだ。
そして、
「いいよねぇ、アンタは可愛いし」
と、文句を言い出した。
いきなりするもんだから、沙帆もびっくりしている。
「痩せてるしね!綺麗だしね!中学の時からモテるもんねぇ!」
「何が言いたいんですか?」
いまいち状況が掴めない沙帆でも、少し腹が立つようで、
「意味が分からないんですけど?」
と、少しとげのある言い方をした。
「覚えてない?大阪の時さぁ、あたしの好きな人奪った事」
沙帆は、中2からこっちに引っ越してきたけど、、、、、
まさか、その時から付き合っていたなんて、、、、、

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