追いかける背中
「あ!もしかして、萩原靜先輩デスかぁ!?」
沙帆は指を指しながら言う。
「やっと、思い出したのかよ、、、」
少し呆れ気味の先輩。
いや、コッチの方が呆れてるって、、、。
「てかさぁ、付き合ってすぐに別れちゃったよねー?」
「そうですが何か?別れるのもこっちの自由だと思ってるんですけど」
会場に笑い声がおこる。
「毎回そうだよね、いっつもあたしのこと笑いものにしてさぁ、、、、」
「もうさぁ、ヤメテくれない?」
違う先輩の声がした。
さっきの、噂をしていた人。
「アンタらの過去とかに、キョーミないからさぁ、喧嘩は後回しにしてくんない?」
「正直、マジウザイんですけど」
「てか、後輩に好きな人取られたんだー」
「しょーもない」
「アハハ、超似合うかもー」
復讐のつもりが、逆に笑いものにされて、カッと顔を赤くした。
そして、
「ま、みんなそう言ってるし、もういいけど」
と、乱暴に手を離し、
「覚えててよね、いつ復讐するか分からないから」
鼻で笑って会場を出た。
放置された沙帆は、
「意味不明なんですけどー!」
と、出て行った先輩の背中に向かって叫んだ。
先輩からは、返事はなかった。


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