彼が猫になる
地元の猫なんだろうか

彼女は隙間を入り

どんどん道を抜けていく

「早いって
  こっちは人間なんだから」

別に付いてきてもいいって

了解も得てないのに

あたしは

図々しくも彼女に付きまとった

彼女もあたしに付けられてるのに

気付き始めた

一回こっちを見たと思ったら

ぴょいって屋根に登ってしまった

流石に屋根は無理だわ…

必死に息を切らし

付いてきたはいいが

ここで彼女にリードを取られた

屋根を越え彼女の姿を見失った

あ~あぁ

凄く残念だった

あんな素敵な猫

初めてだったのに

ため息を付いたら

風が髪を揺らした

『さらさら…』

ここは…

どうも川沿いにいるみたいだ

家の合間から

堤防が見えた

そうだ。

川沿いに待あわせ場所に向かおう

堤防の下に立ったときに気付いた

さっきの猫だ!

猫はさっきまでの

荒々しい歩きを止め

テクテクって可愛く歩いてるように見えた

彼女の先には

一人の男性が堤防に腰かけている

彼は

濃い緑のマフラーと

ダウンジャケット

そしてビンテージ風なジーンズと

ラフなスタイル

後ろ姿からして

ちょっと若い男性に見えた

その猫は彼の隣に

まるで”彼女”の如く

彼に寄り添い座った
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