彼が猫になる
こんな事なら

水着でも持ってくるんだったなぁ

呟くあたしに

「やめとけ
  二段腹なんて見たくない」

うるさいよ

見た事ないくせに

他の男だったら

隙あらば

手を出しそうな場面も

智は一切ない

あたしに魅力がないのか

もしかしてアッチ系なのか

なんであれ

安心させる人だ

風が

潮の香りを運んでくる

ヒールを脱いだ足に

サラサラな砂がまとう

自分の足を撮る

夏っぽぃ…

綺麗な色の貝殻

海が砂とぶつかりあう白

あたしのデジカメが

はしゃぐ

「連れてきて
  良かったよ」

またまた~

いつかの為の下見でしょって

あたしは

変な顔して智をいじる

「ははは。
  鋭いねぇ~君ぃ~」

あたしたちは

恋に発展しない

智はいつだか

彼女の理想論を語っていた

それはそれは

あたしとは

正反対な事ばっか並べていた

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