彼が猫になる
何で

あたしこの絵知ってる?

あたしはこの絵の前に

突っ立って

長い間動けなかった

「うぶ??」

薫が知り合いの挨拶周りを終え

声をかけてきた

ぅん…

あたしはまだ絵に吸い込まれていた

絵には

水 赤い風船 

そして

カメラを手にする女性

「素直な君に」

と書かれたポスターのような絵

「この女性、うぶっぽぃね」

薫に言われてドキっとした

いや、きっと分かってた

でも自信が無かった

でもやっぱりそうだ

あの日

一護に逢いにきたくて

訪れた堤防

でも彼はいなくて

必死に写真を撮ったあの日

確かにあたしは

赤い風船を見てる

キラキラ輝く水も知ってる

誰かが

見ててくれたんだ…

一体誰が

作者の名前

「姫苺」

あの時の母親??

違う

違う これは!

静かにあたしの心臓が鼓動する



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